『読みたいことを、書けばいい。』はツッコミながら読むべし!

『読みたいことを、書けばいい。』は2度読め!
最近、どこの書店でも目立つ場所にディスプレイされている本『読みたいことを、書けばいい。─人生が変わるシンプルな文章術』(田中泰延/ダイヤモンド社)を読みました。
著者・田中泰延(たなかひろのぶ)さんの、ユーモアを交えた・今まで読んだことがるような・ないような文章でスラスラと読みながら、意外に(失礼ですね)深い内容に感銘を受けました。
僕は今、もう一度『読みたいことを、書けばいい。』を読み直しています。
1回目はほっほーと感心し、クスクスを笑いながら、スラスラと読む。
2回目は「おーい、ひろのぶ、本当か?」とツッコミをいれながら読むことをオススメします。
なぜ、ツッコミをいれながら読むのか?
例えば、61ページに「趣味とは何か定義してください」とあり、
62ページにその答えとして「手段が目的とすり替わったこと」とある。
その説明として、切手を収集する人の話があり、切手は本来、郵便を送るための額面だけ貼ればいいはず。つまり、切手の目的は郵便を届けることが目的で切手はその手段のはずだった。それが趣味になると手段の切手を集めることが目的になっている、と書いてある。
1回目に読んだ時「なるほど」と思った。
2回目に読んだ時「ん、ほんとか?」と疑った。
別に僕が疑り深い人間という訳ではありません。
田中泰延さんが疑るべき怪しい人間か?というと、
本人に直接会ったこともなく、まして、本人でないので
イエスともノーとも答えられません。
でも、なぜ、疑るかというと64ページに
ことばは疑うことから始める
と田中泰延さん自身が書いているからです。
趣味とは?を疑ってみる
では、「趣味とは、手段が目的とすり替わったこと」を疑ってみよう。
切手の収集、つり竿の収集は確かに手段と目的がすり替わった趣味と定義できる。
では、履歴書などの趣味の欄に「映画鑑賞」や「読書」と書いた人はどうなるのだろう?
映画も読書も「手段が目的とすり替わっていない」。
映画鑑賞が「手段と目的がすり変わる」のは
DVDやブルーレイなど二次コンテンツで集めるときだ。
映画館に映画を見に行くことが目的であり手段とすり替わることはない。
そこで僕は何か別なものがすり替わっているのではないか?と考えた。
例えば、切手や釣りの収集は
手段が目的とすり替わっている。
映画館でみる映画鑑賞や読書は
現実と虚構がすり替わる(場所や時間のこと)。
と言うことではなないだろうか?
つまり、
趣味とはAとB反転させること。
なのだ。
というのが僕が疑って2度読みした感想です。
「やり方」ではなく「考え方」を示す本である。
このように
『読みたいことを、書けばいい。』をツッコミをいれながら読むと
文章を書くことに対する考え方が鍛えられます。
『読みたいことを、書けばいい。』で僕がもっとも注目して感銘をうけたのは15ページ。
この本の表紙には「文章術」と書いてある。しかし、書くためのテクニックを教えようというものではない。そうではなく、書くための考え方を示す本である。
という部分だ。
特に「書くための考え方を示す本である。」というところ。
60ページに「定義をはっきりさせよう」と書いてある。
さっそく「書くための考え方を示す本である。」を定義してみよう。
これは「考え方」の本で「やり方」の本でないことを15ページという冒頭のところで宣言しているのだ。
やり方ではなく考え方であるということは、この本に書いてあることを同じようにやっても、この本に書いてあるような結果が必ずしも得られないよということだ。
と僕は勝手に定義しました。
田中泰延さんはどう考えているか知るすべもありませんが。
同じようなやり方をしても同じような結果がえられない。
これを別の言葉にすると「再現性」がないということだ。
あなたが読んでいる本には再現性はあるか?
再現性とは、Wilipediaによると
再現性(さいげんせい、英: reproducibility)とは、実験を繰り返したときに一貫した結果が得られる程度。
つまり、同じやり方を誰がやっても一貫した結果が得られることだ。
実は、ビジネス書、自己啓発本などの多くは「やり方」の本に見せかけて「考え方」の本である、というケースがよくある。
中には「やり方」の本になっていて再現性のある本もあるけれど。
例えば、『星のリゾートの教科書』を読むと
星のリゾートの社長は経営学の名著を読み、
実際のホテル経営をその本の通りに取り組むと書いてある。
うまくいかない時はその本の内容を徹底していないからだと考え、
さらに本の内容に即して取り組み直すそうだ。
ツコッミながら読むことで考え方を自分のモノとする
このように大学などで研究した内容をまとめた専門書などの名著のなかには「やり方」が書いてあり再現性が保たれている本がある。
しかし、ビジネス書、自己啓発本などの多くは著者の成功体験が書いてあり場合が多く、必ずしも読書の誰もが同じやり方で成功できるとは限らない。
『読みたいことを、書けばいい。』はそのことを冒頭で宣言している点が素晴らしい。
だからこそ、考え方を身につけるためにもツッコミながら何度も読むことが意義のあることだと思う。
さあ、みなさん。
漫才のように「なんやねん!」とツッコミながら
『読みたいことを、書けばいい。』を繰り返し読みましょう。
まとめ
・疑って読め
・定義しろ
・ツッコミをいれろ
・考え方を自分のモノとしろ
以上です。