『儲かる仕組みの思考法』by山崎将志:ビジネスモデルの身近なヒントを多角的に紹介する本【書評】

ビジネスモデルはハイスピードで進化している
先日、どんなレシートでも1枚10円にかわるサービス「ONE(ワン)」が公開され話題を呼びました。
そんなやり方があったのか!と誰もが驚くナイスアイデアなビジネスモデルです。
現代はシンギュラリティといった言葉に表されるように大転換の時代です。
いろいろなモノが無くなったり新しく生まれたり、どんどん変わっていきます。
その中でも儲けの仕組み=ビジネスモデルはハイスピードで進化しています。
そんな時代にぴったりの本が『儲かる仕組みの思考法〜いま、利益を出している会社は何をしているのか?〜』(山崎将志・著)です。
多くの日本の企業が解決すべき問題は、利益を出すこと
『儲かる仕組みの思考法~いま、利益を出している会社は何をしているのか?~』が発信する強いメッセージは、
今、多くの日本の企業が解決しなければいけない問題は、利益を出すことです。(2p)
利益を出すには、まず、儲かる商品があること、そして儲けを生み出し続ける仕組みと仕掛けが必要です。(3p)
につきます。
このテーマを以下の5つの章で様々な角度から具体的な事例を交えて紹介しています。
- 第1章は日常生活で触れることの多いビジネス独特の工夫や利益を上げる構造について。
- 第2章は「値上げ」について。
- 第3章はここ数年で生まれた新しいビジネスの構造
- 第4章は「AI」
- 第5章は「ビジネスは失敗できるようにできている」
特に第1章、第2章、第3章はすぐに使えそうなアイデアが豊富です。
第4章はこれから、第5章は心構え的な内容です。
第1章は身近なビジネスからヒントを学ぶ
第1章は日常生活で触れることの多いビジネス独特の工夫や利益を上げる構造について。
まず、「コインランドリーに領収書発行機能をつければビジネス利用が増える!」という具体的な提案が紹介されます。
これは様々なシーンで「経費になるなら使う人」の需要が潜在的にあり、それを掘り起こせば新しいビジネスになるということです。
その掘り起こしツールが領収書発行機能ということですね。
第1章ではこのほか「髭剃りとかエバのジレットモデル」「強い競合が入ってくる前に市場拡大を止めるエステー」など興味深い事例を紹介しています。
第2章は利益を出すアイデアの章
第2章は「値上げ」について。
- 商品の販売量数を増やす
- 商品の仕入れ単価を下げる
- 固定費を減らす
- 商品を値上げする
の中で利益を上げるのに最も効果的なのはどれか?
という質問から、利益を増やすなら値上げをするのが一番であることをデータとグラフを使ってわかりやすく解説してくれます。。
このほか「基本料金を低価格にするほど威力を発揮するアドオン戦略」「人は損することを嫌がる」など値上げに関する戦略などを紹介しています。
第3章は新しい仕組みの章
第3章はここ数年で生まれた新しいビジネスの構造を紹介します。
そのキーワードを上げると以下の通り。
- ファブレス(99p)
- メイカーズ・ムーブメント(100p)
- グーグルA/Bテスト(101p)
- クラウドファンディング(103p)
- ユニコーン企業(110p)
- 資産を持たない経営(117P)
ざっくりと要約すると、以前なら莫大な資産や設備がないと実現できなかったビジネスが、優れたアイデアがあれば資産を持たなくてもグローバルにハイスピードで展開できる時代になったということです。
新しいビジネスモデルを作るなら、こういったトレンドを意識すべきでしょう。
第4章は避けては通れないAIについて
第4章は「AI」について。
AIの基礎知識的な話をベースに経営者や企画事業者にとって重要と思われる部分の説明と具体的な活用方法を紹介します。
第5章は「ビジネスは失敗できるようにできている」
新しい挑戦に及び腰になっている人が、一歩前に踏み出すための考え方を紹介しています。
大成功だけしているように見えるアップルがいかに失敗してきたかという事例が参考になります。
あれほどの企業、天才ですら失敗をすることで学んできたということです。
まとめ
企画の仕事をしていると、常に新しいビジネスモデルが気になります。
最初に紹介したどんなレシートでも1枚10円にかわるサービス「ONE(ワン)」のように、なぜ、今まで誰も気がつかなかったのだろう?と思うようなビジネスモデルには参考にすべき点がいっぱい詰まっています。
『儲かる仕組みの思考法~いま、利益を出している会社は何をしているのか?~』は変化と進化を遂げるビジネスモデルを身近な事例を通してわかりやすく紹介してくれる貴重な本です。
読み方次第でヒントを得ることができるでしょう。